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事前確定届出給与を支給しないとどうなる?

会社の節税対策として活用されているものに、「事前確定届出給与」があります。

事前確定届出給与とは?

役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与のうち、定期給与を支給しない役員に対して支給する給与以外の給与で、届出期限までに納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をする等の一定の要件を満たしている場合のその給与は、その法人の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができます。

と難しく書いていますが、役員に定期同額給与以外の支払いをしたいとき、提出期日までに税務署に支給日と支給額を届け出、届け出通りに支払った場合、経費として損金算入できますよ。というものです。しかし条件が厳しく、届け出書の通りの日付と金額を支給しない場合は、すべてが損金不算入となります。また、株主総会・取締役会の決議が必要となります。

事前確定届出給与を支給しないとどうなる?
届け出通りの金額を支給しないと、損金不算入になります。(定期同額給与は除きます)

例1:500万円支給する届け出を出していたのに、資金繰りが悪く200万円しか支給できなかった。この場合、支給した200万円は申告書別表四で損金不算入となります。

例2:3月決算の法人が、6月と12月に200万円づつ支給する届け出を出したのに、6月は200万円、12月は100万円しか支給しなかった場合、6月、12月あわせて300万円が損金不算入となります。

未払金で計上しても大丈夫?
基本、未払金計上は認められていないようです。

国税庁のHPより

【新設】 (事前確定届出給与の意義)

9-2-14 法第34条第1項第2号《事前確定届出給与》に規定する給与は、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給される給与をいうのであるから、同号の規定に基づき納税地の所轄税務署長へ届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合にはこれに該当しないこととなり、原則として、その支給額の全額が損金不算入となることに留意する。

【解説】(抜粋)

4  なお、事前確定届出給与については、その届出に当たって、支給額の一部が未払いとなった場合の取扱いについての照会が寄せられているようである。この点については、その事前確定届出給与が債務として確定したものであれば他の費用と取扱いを違える必要はなく、未払計上であっても支給した金額に含まれるものとも考えられる。
しかしながら、事前確定届出給与とは、「その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与」であることからすれば、その届出の時点において未払いとなることが見込まれるような場合には、そもそも「事前」に確定額を支給する「定め」が存していたのかどうかという疑問が生ずることとなる。会社と役員との関係は委任に関する規定に従うこととされており(会社法330)、事前確定届出給与は、定期同額給与と同様に、その委任を受けた職務執行の対価であることからすれば、未払いとなることを前提にその対価の支給を決定しておくことはあり得ないと考えられるからである。このような観点からすれば、事前確定届出給与の「確定額」には未払いが見込まれる金額が含まれることはなく、未払いが見込まれる金額が含まれている場合のその金額は「確定額」とは言えないこととなろう。
いずれにしても、事前確定届出給与について、その支給額の一部につき未払計上がされた場合には、給与としての実態が伴っているかどうかその実質により判断することとなるとともに、上述の考え方から、所轄税務署長へ届け出た金額が確定額であったのかどうか、更には、そもそも「その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する定め」が存していたのかどうかなどについて、個々に判断していくこととなろう。

これはどんな場合を言っているのかというと、届出は500万円だったけど、資金繰りの都合で300万円だけ払って残り200万円は未払金処理しました。というような場合。解説の最初のほうでは、未払金という債務として確定したものであれば他の費用と同じように支給した金額に含まれると考えると書いてあるのですが、『しかしながら~』以降では、届出の名称は『事前確定届出給与』というように『確定』という文字が書いてあるからには未払いはありえないでしょう。というようなことが書いてあります。もし未払金扱いになっている場合は、実態を調査し判断しますということなので、経営状況の急激な悪化など状況を説明する資料を揃えておかないと、簡単には認めてもらえないようです。

そんなつもりはなかったけど・・・資金繰りが厳しくて払えないときはどうしたらいい?

黒字の会社では節税対策として有効に利用されていますが、翌期の業績なんてわからないものです。大口の取引先がいきなり倒産等で資金繰りが厳しくなる!!ということもありますよね。

事前確定届出給与をまったく支払わない。

年1回だけ支給の届出を出している場合は、中途半端な金額の支給はやめて、0円にします。すると、損金不算入にする金額は発生しないので実害はありませんという理屈のようです。

しかし、一度届け出たものを取りやめるのですから、やはり注意と準備が必要です。

支給日前に、報酬請求権を放棄しましょう。

1.事前確定届出給与は株主総会・取締役会で決定したことなので、会社の一存で『支払うのやめました!』ということはできません。もう一度株主総会・取締役会を開いて、事前確定届出給与を支給しない旨を決議し、議事録を作成しましょう。

2.また、一度支給すると決めた報酬なので、その役員には報酬請求権という権利が発生します。所得税法には以下のような通達があります。

所得税法基本通達28-10より
(給与等の受領を辞退した場合)

28-10 給与等の支払を受けるべき者がその給与等の全部又は一部の受領を辞退した場合には、その支給期の到来前に辞退の意思を明示して辞退したものに限り、課税しないものとする。

これは、給与の支給期到来前に受領を辞退しない場合は、源泉所得税が課税されるということです。報酬をもらえないのに源泉所得税だけ課税されるのは避けたいので、支給日前に報酬請求権を放棄した旨の議事録を作成しましょう。

でも、税務署への印象を考えるなら、なるべく一度届け出たものはきちんと届出通りに支給したほうがよさそうですね。

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